覚え書き

当社書籍を用いたオンライン研修での発見を中心に

オンライン研修のグループワーク(前編)

集合研修における「グループワーク」。たとえば参加者が16人の研修であれば4人×4グループに分かれて話し合います。会場の広さによりますが、2人掛けの長机を2つ合わせて下図のような配置にすることが多いです。

昔(たぶん2005年頃)作成した、集合研修会場のレイアウトイメージ図

何を話し合うのかは研修の内容によって違います。
当社の本を用いた研修では、紹介した言語化の手法を用いて自分の事を表現してもらいます。

たとえば今の仕事を「ゴールイメージ」で表現してみる。
過去の経験を「3点セット」で表現してみる。

表現する作業を通じて「なるほどこうやればいいのか」という実感をつかむことができます。

他者の表現例を聞いて学ぶことはもちろん多いのですが、自分が話すことも同じくらい重要だとわかります。実際に話してみると、自分の仕事や経験について自分自身がどのくらい理解しているのかがわかります。話していく過程の中で新しい言葉が生まれて、「ああ、自分は本当に言いたかったのかはこれだったのか」と後から気付くこともあります。これは独白ではなかなか難しくて「自分の話を真剣に聞いてくれる相手がいること」は大切なことだといつも思います。

講師としての理想は、全員の話を聞くことです。
研修講師の仕事とは別で、導入事例記事(お客様の声)を制作するための現場取材の仕事を10年くらいやっているうちに、色々な聴き方や訊き方ができるようになりました。コーチングとはちょっと違って、実際の仕事や現場で何があったのか、実態をより明らかにしていくための共同作業のような質問です。

全員にそれをできるのは、集合研修だと5人までだと思います(これまで3回経験しました)。
それ以上になると、集合研修というパッケージに収まりづらくなり、受講者も、他者の話を聞いてばかりの時間が長くなりすぎてしんどくなります。6人だと「3人×2グループ」に分けます。

よくある「4人×4〜5グループ」という研修の場合はどうするか。
話し合っている最中、講師は周囲をうろうろ歩き回ったり、どこか1つのグループに介入したりします。介入といっても、近くで立ったままちょっと質問するだけのこともあれば、椅子を持っていってガッツリ参加することも。で、タイミングのいい所で抜けて、また別のグループの様子を見にいったり。いずれにせよ複数のグループが同時並行で話しているわけで、全員に何かしらのコメントをするというのは不可能です。

そのかわり人数が多いと「これは!!」という知見が生まれる確率も高くなります。
そこで会話の後にそれぞれのグループの代表者から「我々のグループではこんな例がありましたよ」という発表をしてもらい、クラス全体で共有します。グループワークを始める前に「後でグループごとに発表してもらうので『これは他のグループの皆さんにも役に立つかも!』というものを1つ選んでおいてください」と頼んでおきます。

新入社員なら「相談の仕方」や「時間の使い方」などのちょっとした成功談や失敗談。
管理職ならマネジメントについての苦労話や手応えを掴んだエピソードなど。
研修の構成によっては経験談を紹介するだけでなく、持論化に挑戦してもらうこともあります。

発表を聞いている他の受講者は「なるほどその手があったか!」「それは自分の職場にも当てはまる!」などと思うと、講師の話を聞いている時よりもずっと気合を入れてメモをとっています。リラックスした雰囲気だけど、話の中身は真剣。好きな時間です。

長くなってしまいました。
これをオンライン研修ではどうするの? という話が本題です。
続きは後編で

(2020.10.24)

「成長のための言語化」シリーズ