ゴールイメージとは何か
ゴールイメージとは「いつ、何が、どのような状態になっていれば、この仕事はOKなのか?」を表現したものです。実現するための手段や具体的にやる作業と、ゴールイメージを混同しないように気をつけてください。
ゴールイメージを明確にしないまま仕事を行う人は、決められたことを手順通り行うことが仕事だと考え、ゴールイメージ(上図の丸の部分)と手順や手段(上図の矢印の部分)を混同しがちです。
混同を防ぐためには「○○することによって~」という言葉が役に立ちます。「○○することによって~」という言葉を後に付け足せるということは、それが手順や手段であることを示しています。
「機械の修理」という仕事を例に考えてみましょう。
・部品交換や動作点検をする
↓
・部品交換や動作点検をすることによって、明日の昼までに機械が使用可能な状態になっている
「部品交換」や「動作点検」はこの仕事の手段です。「明日の昼までに機械が使用可能な状態になっている」がゴールイメージです。手段とゴールイメージが「◯◯することによって~」という言葉でつながっています。
そう考えると、手段は他にも挙げられます。
・利用者にヒアリング ・動作不良部分の詳しい調査
・利用者への説明 ・修理後の操作立会い ・作業完了書の作成
これらは全て「〇〇することによって~」の「〇〇」の部分に入れることができます。
ゴールイメージは、あなたが一人で勝手に決めていいものではありません。基本的に、ゴールイメージは上司やお客様などの発注者の頭の中にあるものです。あなたは発注者からの情報をもとにしてゴールイメージをつくり、それが正しいか、ズレや誤解がないかを発注者と確認し、すり合わせる必要があります。
複数人、複数の部署、複数の会社が関わりながら仕事をする時には、発注者だけでなく関係者全員が同じゴールイメージを共有しなくてはいけません。各々がバラバラなゴールイメージを持ったまま仕事を進めてしまうと、協力関係はあっさりと崩れてしまいます。
ゴールイメージをすり合わせないまま仕事を進めることは、発注者とのトラブルや、仕事のやり直しの原因となります。ゴールイメージのズレは、仕事の終盤になってから明らかになることが多いです。ですから、やり直しをしようと思っても時間が足りなかったり、余計な追加作業で関係者に迷惑をかけたりして、利益を圧迫してしまいます。
また、ゴールイメージがわからないと、仕事を終えた後で自分がやったことの良し悪しを評価することができません。良し悪しが評価できないと、その仕事から何も学ぶことができません。どこに的があるかわからないまま暗闇めがけてボールを投げ続けるようなものです。狙った的に当たったかどうかがわからないままでは、どういう投げ方をすれば的に当たるか、何度投げてもわかりません。それでは修正もできませんし、やりがいも感じられません。
どのような小さな仕事にもゴールイメージはあります。発注者とのすり合わせを忘れないようにしてください。
・本ページは、書籍「長く成長していくための 仕事における言語化能力」の内容の一部を限定公開しているページです。他の公開中のトピックは「目次」から確認してください。