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株式会社クレハ様

「この本は、クレハの事業特性や開発精神とマッチしていました」

株式会社クレハ 人事部 担当課長 伊藤嘉信氏(写真左)、増田匠悟氏(右)に、当社書籍の導入経緯や活用方法について伺いました。

〔株式会社クレハについて〕
1944年創業の素材・化学メーカー。独自技術を基に、高機能材、医薬品、農薬、工業薬品、家庭用品(「NEWクレラップ」等)など様々な産業におけるモノづくりを展開している。従業員数4,374名(連結:2018年3月31日現在)

階層別研修で「やり方の作り方」を学ぶ。

ー クレハでは、当社書籍をどのように使われているのですか。

以下の2つの階層別研修の教材(事前課題図書&研修テキスト)として使っています。

・中堅社員研修(30歳前後の社員が対象)
・新任ラインマネージャー研修
※いずれも対象者は必須参加/1クラス15〜20名/2泊3日

この2つの研修は、「役割が変化するタイミング」で参加することが共通点です。中堅社員は現場の課題解決を主導するリーダーシップの発揮が求められ始めます。新任ラインマネージャーは、今までのプレーヤーから、メンバーを育成し意欲を引き出しながら部署の目標達成に責任を持つ立場へと大きな変化を経験します。

役割が変わるということは仕事のやり方も変わるということですが、「この通りやればOK」という正解は存在しません。自部署の課題や自身の役割に応じて、自分なりのやり方を作っていかなければならないと考えています。

研修の前半では、様々なインプット(事業分析/上司インタビュー/多面評価など)を材料にして、自分の役割や自部署のゴールを明確化します。後半ではそれらの実現方法を検討するのですが、講師から特定のやり方やスキルを指導するのではなく、”やり方の作り方”を学びます。本の内容は主にこの後半部で扱われます。

役割もスキルも自分で考える研修

ー 階層別研修では「役割はこれ」「必要なスキルはこれ」というように、明確な線引きや特定スキルの付与を目的とする企業も多いのですが、上述のクレハの研修はそれと対極的なものに感じます。

当社は中堅の化学メーカーですが、展開している事業が多く、事業ごとの市場成熟度や環境もさまざまです。市場の変化に合わせてその時々で適切な意思決定が求められます。規模の大きい競合他社と同じ事をやっていては、競争に勝つことができません。クレハの歴史は、独自の方法により価値を提供してきた歴史の積み重ねとも言えます。

また当社では、モノづくりにおける開発精神として「ナケレバ、ツクレバ。」を掲げています。この言葉は商品そのものだけを指しているのではありません。新事業は素材と用途の新たな組み合わせによって誕生しますが、立ち上がったばかりの事業には、最初から正しいやり方やチームのあり方などは存在しません。価値をお客様に届けるまでのさまざまな「新しい仕事のやり方」の開発が同時に求められます。

口で言うのは簡単ですが、このようなことを実践するのは簡単ではありません。日々忙しく仕事に追われていると、つい、よそに答えを求めがちになります。でもそれだけでは、クレハを引っ張っていくことはできない。

階層別研修を通じて、キャリアの節目のタイミングで改めて「自ら作り出す」ことの意味を確認し、知恵を絞ってほしいと考えています。この本は、そのようなメッセージをより具体的な言葉で受講者に届け、実践を支援するのにぴったりだと思いました。

〔中堅社員研修の様子〕

書籍&研修の評価について

ー この研修に参加された受講者の声をいくつか教えていただけますか。

それでは、受講後アンケートの自由回答をご紹介します。

<書籍について>

・今後何度も読み返していくと思います。

・読む時間を捻出するのが大変だったが、読みやすく無駄のない内容だったのでよかった。

・ゴールイメージ、状況言動結果の三点セット、仕事を研究的に取り組むといった内容は、特に積極性のない部下に対して実践してみたい内容だったので参考にしたい。

・これまで漠然とやってきたことについて理論立てて説明がされており、整理できた。

<研修について>

・自分たちで考えるという進め方の研修は自分にフィットしていた。

・これまで主体的にやり方や方法を考えることが苦手だったが、今回の研修を通じてどんどん挑戦してみたいという欲が強くなった。

・インプットの時間、考える時間、討議の時間のバランスが良いと感じました。刺激が多く、退屈しませんでした。講師に関しては、単なる自己啓発に留まっておらず、ライターの観点からの考察や分析を講義に盛り込んでいたと感じ、オリジナリティがあると思います。実践を意識した講義内容でもあり、私は大変良いと感じました。

・多く口出しせず、自分自身で気づきを促す形式だったのがよかったです。一方で、個別ワーク時に講師から一言いただいた具体的なアドバイスは的確で、非常にためになりました。

・自身の現状について、他の参加者の状況も共有しながら再認識できた(他部署のラインマネージャーとは業務の必要性の上では話をすることはあるが、本研修のような目的で普段話をすることはないため)。

ー 研修をオブザーブして印象に残っていることはありますか?

二つあります。一つ目は、クラス全体で「後輩指導のやり方」について議論していた時のことです。あるグループが発表した、過去の経験を元に開発した方法について、別の受講者から「自分は上司にそれをやられて辛かったので賛同できない」という意見が出ました。

他の受講者の経験談も交えつつ、しばらく対話を重ねていくうちに大切なポイントが見つかったのですが、そのとき、賛同できないと言っていた受講者が「ああ、あの時上司がその一言を加えてくれていたら、自分はもっと頑張れた」とつぶやきました。クラス全体が、経験から学び合うことの本質的な部分に触れた! という空気に包まれたのをよく覚えています。

もう一つもうれしかったことです。
研修の最後に、現在の業務の中での「より良いやり方の研究」にどう取り組むのかを考える時間があります。普段はあまり考えないことなので、手元のシートが空欄のままの受講者もいるのですが、その後にグループで話し合っていくうちに「それは自分にもできそう」「つまりこういうことか」と、どんどん加筆されていき、最後にはほぼ埋まってしまいます。

話したり、聞いたりすることで自分の考えがより整理され、自覚できるのだと思います。本を読むだけではたどり着くことの難しい、研修という場ならではの価値だと思いました。

受講後の「やり方研究報告書」

中堅社員研修では、上述の「より良いやり方の研究」の実施結果を報告するのが研修の事後課題となっています。今までの受講者で例を挙げると、

・部門横断型プロジェクトの推進手法
・後輩指導の力加減(「教える」と「考えさせる」のバランスの取り方)
・協力会社との連携体制の作り方
・社内審査のプロセスやフォーマットの進化

といったテーマ設定の元、自分の職場で実態調査、他者比較、実験などを通じて自分なりの「マイセオリー」を編み出しており、所属長から高い評価を得ているものもありました。

〔受講者が作成した「やり方研究報告書」〕

研修をやりっぱなしではなく、ほとんどの受講者が学習したことを現場で発揮しています。今後は報告された様々な知見をどう共有、活用していくかも考えていきたいです。

新任ラインマネージャーについては研修後の事後課題はありません。その代わりに、数ヶ月後に再び集まってお互いの経験情報を共有できるような、フォローアップの場の設定を検討しています。

ー お忙しい中、ありがとうございました。

株式会社クレハのホームページ
文中の組織・数値等は全て取材時時点(2018年7月)のものです